20. ④　その霊的意味は、今まで知られていなかった。

自然界にあるものは個々全体にわたって、霊的なものに相応していますが、それと同じように、人体にあるものも個々全体にわたって、霊的なものに相応しています。これは小著『天界と地獄』の、87節から105節までに示しました。相応とは何かは現在なお知られていませんが、最古代時代には、当然のこととして知られていました。当時生きていた人々にとっては、相応の科学は、科学の中の科学でした。その当時の人々の文献・書籍は、いっさい相応によって書かれていたほど、あまねく普及していました。古代の書物であるヨブ記には、相応がみなぎっています。

エジプトの象形文字とか最古代の神話物語もそうです。古代教会はすべて天的なものを表象する教会でした。かれらの儀式や規約は、その礼拝様式のもとになっていますが、まぎれもない相応から生まれたものです。ヤコブの子らの教会もすべてそうです。燔祭や犠牲に関する事柄は個々にわたってみな相応です。同様に幕屋とそこにあるすべてのものがそうです。それから、種なしパンの祝祭、幕屋祭、初穂祭のような祝祭がみなそうです。またアロンやその子たちの祭服を見て分かるように、アロンとレビ族の祭司職がそうです。そのほか、かれらの信心や生活に関係がある規定や法令は、みなそうです。そして、この世における神的なものは相応をとおして成り立つわけですから、〈みことば〉も、まぎれない相応で記されました。主はみずからの神性に根差して話されましたから、相応によって語られたわけです。神の力は、自然の中では、神的なものに相応する形をとります。そのさい、いわゆる天的神性または霊的神性を、おのずから含みもつことになります。