132.　奇跡とは以上のようなものです。それは、ユダヤ人やイスラエルの民のまえでなされた奇跡からもはっきり分かります。かれらはエジプトの地で、そのあとスフ海に向かうとき、いろいろ奇跡を見ました。砂漠でも、他の種類の奇跡があり、とくに律法が公布されたときのシナイ山上で、奇跡を見ました。それにもかかわらず、シナイ山上でモーセがとどまっていた日月のあと、金の小牛をつくって、エジプトの地からかれらを導いたエホバに代わって、その小牛を神にしました(出エジプト32:4-6)。そのあとカナンの地でも奇跡が行われましたが、そのときも同じです。かれらは命じられた信心から何回も離れました。主がこの世にあって、かれらの前で行われた奇跡についても、同じことが言えます。かれらは主を十字架につけました。

2. このようにして奇跡が行われた理由ですが、それはユダヤ人とイスラエル人はまったく外部人間であって、かれらがカナンの地にみちびかれたのも、外部的信心をとおして、その内部のもの、すなわち教会を表象するためでした。

悪い人間でも、善い人間の表象になることはできます。つまり外部というと、その儀式のことで、かれらが守っていた儀式は、みんな霊的なもの、天的なものを意味していました。アロンでさえ、金の小牛をつくって、それを拝むよう命じたりしました(出エジプト32:2-5、35)。それでもかれは、主とその救いのわざを表象することができました。そしてかれらの場合、信心の内部をとおして、その表象される実体に導かれませんでしたから、奇跡をとおしてひっぱられ、むしろ強いられ、強制されたのでした。

3. かれらが、信心の内部をとおして導かれることができなかったのは、かれらがもっていた〈みことば〉のすべてが、主についてしか述べていないにもかかわらず、主をみとめなかったからです。主を認めない者は、信心の内部のものを受け入れることができません。ところが主がご自分を啓示され、教会の中で、主が永遠の神として受け入れられ認められたあと、奇跡はなくなりました。