何かを理解するときに「見える」と言うのはよくあることです。そして、聖書の中の「見る」というのは、確かに霊的なものを把握し、理解することを表しています。ですから、私たちを見ることができる目は、霊的なものを理解することができる知性を表しているのです。

もちろん、これは否定的な意味でも使われます。聖書は人々が目を持っていて見ることを拒否していることを語っており、主がこの世におられた時には、不快な目を摘み取るように助言されました。これは、真実を認めることを拒否したり、偽りに惑わされたりすることを表しています。

(참조: 啓示による黙示録解説214; 天界の秘義212, 1584, 1806, 2701, 3820, 3863 [6-11], 4410, 5810, 8792, 9051)

2701. 「神がハガルの目を開かれた」とは、理知性 を意味します。「開かれる」とは、神が開かれるわけで、「眼」は理知性を意味します。「眼」が理性を意味することは、212節を参照してください。また「視力」とか「見る」については、2150,2325節を参照してください。

「神が眼を開かれる」とは、内的視覚すなわち理性を開かれることを言います。これは人の合理性に、あるいは人の〈合理的な霊的なもの〉に及ぼす流入を指し、人知の及ばない内的な魂の道筋をとおして行われるものです。この流入は、人が聞いたり読んだりした諸真理を確認したときの、照らしの状態です。それは本人の理知に宿る内的感知力によります。

人はそれが生来のもので、自分固有の理知能力で到達するかのように思いますが、それは甚だしい誤りです。主の流入は、天界を通して、曖昧で誤りだらけのものに注がれ、さらには、人が信じる事を、当座の善によって、真理に見せるまがい物にも注がれます。しかし、信仰の霊的なものでの照らしを享受するのは、霊的になった人だけです。それが「神は眼を開かれる」の意味です。

② 「眼」は理性（理解力）を意味します。肉体的視覚は、理性を意味する霊的視覚に相応します。〈みことば〉で「眼」とは、まさかと思われる箇所を含め、ほとんどどこでも、理性を意味します。主は、マタイによる福音書で言われています。

「目は身体の明かりである。もしあなたの目が純粋なら、全身が明るい。しかし、あなたの目が悪ければ、全身も暗い。もしあなたの光明が暗ければ、その暗さはどれほどだろう」（マタイ 6:22,23; ルカ 11:34）。

上掲での「目」は、理性です。その霊的なものとは、信仰です。それは「もしあなたの光明が暗ければ、その暗さはどれほどだろう」の説明から明らかです。同じく、マタイによると、「もしあなたの右の目が躓かせるなら、それを抜き出して捨てなさい」（マタイ 5:29; 18:9）。

「左目」は、理知的なものを示し、「右目」は、その情愛を表わします。「右目を抜き出して捨てる」とは、もし躓かせるなら、情愛を制御しなくてはならないという意味です。

③ 同じく、

「あなたがたの目は見ており、耳は聞いているから、さいわいである」（マタイ 13:16）。

同じく、ルカによると、「それから弟子たちに言われた。あなたがたが見るものを見る目は、さいわいである、と」（ルカ 10:23）。

「見る目」とは、理知と信仰を指します。主を目撃したり、その奇跡や業を見ても、至福になったわけではありません。「目で見る」とは、理性をもち始め、信仰をもつことで、「耳で聴く」とは、従うことです。

「目で見る」とは理解することであり、信仰をもつことです（897,2325節参照）。理性とは、視覚上の霊的なもの、信仰とは、理性上の霊的なものを言います。目の視覚は、この世の光に依存し、理性の視覚は、この世の光に属するものに流れてくる天界の光に依存し、信仰の視覚は、天界の光に依存します。それで、理性で見る、信仰で見る、と言われています。「耳で聴く」は、従順であることを意味します（2542節）。

④ マルコ福音書によると、「イエスは弟子たちにたいして言われた。まだ分からないのか、悟らないのか。あなた方の心は鈍いのか。目があっても見えないのか。耳があっても聞えないのか、と」（マルコ 8:17,18）。

上掲で、「目があっても見えない」とは、理解したいと思わないし、信じないという意味であることは明らかです。ルカによると、「都についてイエスは言われた。・・・もしあなたが、あなたの平和をもたらすことを知ってさえしたら。だがそれは今あなたの目に隠されている、と」（ルカ 19:41,42）。マルコによると、「これは主がなされたことで、われらの目には不思議に見える」（マルコ 12:11）。

「目に隠されている」、「目には不思議に見える」とは、理性の面前にそうであるという意味です。これは目の意味から分かることで、日常なじみがあります。