神の愛と知恵 #1

Da Emanuel Swedenborg

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1. 神の愛と神の英知についての天使的英知第 一 部

(1) 愛は、人間の〈いのち〉である1. 「愛」と聞いて、人はその存在を知っていても、それが何かは 分かっていません。普段の会話のなかで、愛が登場します。ある男がわたしを愛しているとか、国王がその臣下を愛し、臣下が国王を愛しているとか、夫が妻を愛し、母親がその子を愛し、またその逆であるなどと言います。あるいは、あの人この人が、祖国を愛し、同胞を愛し、隣人を愛していると言うこともあれば、人と関係のない事柄についても、あれこれの事物を愛していると言います。愛は、話の中で、これほどありふれていながら、愛はいったい何かということになると、人はほとんど何も知りません。

愛について思いめぐらしてみても、その概念構成がうまくいかないため、愛など、とりたてて言うべきものではないと言ったり、あるいは見たり、聞いたり、触れたり、話したりしている中に、何か動きをもって、流れてくるものだという程度です。

つまり人は、愛が人の〈いのちそのもの〉だということに、まったく気づいていません。その〈いのち〉は、人の肉体をくまなく生かしているだけでなく、思考力もすべて生かしています。つまり、個々のもの全部を生かす〈いのち〉なのです。賢者ともなれば、次のように言われれば、ぴんと感じとることができます。

「愛からくる情愛がなかったら、何かを考えたり、行ったりできるでしょうか。愛からくる情愛がしぼんでくると、それだけ思考力も、会話力も、行動力も、しぼんできます。また、その情愛が燃えると、それだけ熱をもってきます」と。

賢者の悟りは、愛が人の生命であるという思想からくるのではなく、愛が人の生命であるという体験から来ています。

  
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Many thanks to Arcana Press for their permission to use this translation online.